独白集

今は主にエッセイを書いています。

散文のようなもの

他者は幻

子どもの頃、私はよくこんな空想をした。友人や家族、道ですれ違う人たち、すべては幻である、と。 他者が存在していると信じ切ることができなかった。未だに確信を持てずにいる。だって、証拠なんてどこにもない。 自分が存在していることは、なんとなく信…

野良猫のように生きるということ

永遠に零れ落ちる砂を眺め続けているような、虚しい気持ちから逃れられないまま、書きかけの小説を何度も何度も推敲した。2万字の世界を支配するための器量が足りず、ストーリーは矛盾をはらみ、登場人物は余計なことを喋り、哲学的な言い回しは悪臭を放っ…

無意味な散歩

気分が塞ぎこんでゆく時のあのモヤモヤとした脳味噌の感覚を表現するだけの言葉が足りない。 偏狭な視界のせいで大切なものをひとつひとつ見過ごしてゆく。どんな刺激も届かない。辛うじて心に浸透してゆく特定の音楽を聴きながら目蓋を閉じる。何も見たくな…

腐った日記帳

2015年5月15日 「考え事を言葉にしていると、ときどき自分が酷く冷たく歪んだ人間に思えてくる。 愛し愛される恋人同士の閉じた世界や、賑やかで満ち足りた大家族の食卓、やさしさと助け合いにあふれた小さな集団。 それらが遠い遠いところにあるよう…