独白集

今は主にエッセイを書いています。

永遠のさよならの前に

その瞬間はあっという間 過ぎ去って行くのを知っていながら 何もできずにいたんだ 「それは永遠」 GRAPEVINE 温かな空気がほのかに残る夕暮れ時、仕事を終えた帰り道、泣きたい気分でGRAPEVINEを聴いていた。保育園の花壇にはチューリップやパンジーが咲き誇…

他者は幻

子どもの頃、私はよくこんな空想をした。友人や家族、道ですれ違う人たち、すべては幻である、と。 他者が存在していると信じ切ることができなかった。未だに確信を持てずにいる。だって、証拠なんてどこにもない。 自分が存在していることは、なんとなく信…

野良猫のように生きるということ

永遠に零れ落ちる砂を眺め続けているような、虚しい気持ちから逃れられないまま、書きかけの小説を何度も何度も推敲した。2万字の世界を支配するための器量が足りず、ストーリーは矛盾をはらみ、登場人物は余計なことを喋り、哲学的な言い回しは悪臭を放っ…

「ふつう」を捨てる

「30になって心境の変化はあった?」と聞かれた時、微酔いで「恥ずかしながら、今更人付き合いって大切だなと思うようになったよ。」と即答した自分がいた。学生の頃の私だったらあり得ない発言だ。他人からの評価ばかり気にしていたあの頃の私にとって、人…

無意味な散歩

気分が塞ぎこんでゆく時のあのモヤモヤとした脳味噌の感覚を表現するだけの言葉が足りない。 偏狭な視界のせいで大切なものをひとつひとつ見過ごしてゆく。どんな刺激も届かない。辛うじて心に浸透してゆく特定の音楽を聴きながら目蓋を閉じる。何も見たくな…

「いい子にしていてね」

最近、息子の瞬きが多い。もしも音が鳴るなら、パチパチ、という可愛らしい音ではなく、ギュッ、という痛々しい音がすると思う。両目をつぶるのと同時に、口元がギュッと上がるのだ。 チックじゃないかと疑っている。チック、とは自分の意思とは関係なく体の…

眠りについて

眠りに悩まされる人生だ、とつくづく思う。この頃は、若い頃の睡眠不足を埋め合わせるように、長く長く眠る日々が続いている。眠れないのも、眠りすぎてしまうのも、困ったものだ。 昔は眠るのが苦手だった。寝つくのに時間がかかったし、夢の中でも嫌な思い…

死と生について

子どもの頃、死ぬことが怖くてよく泣いていた。このトンネルを抜けたら、事故に巻き込まれて死ぬのではないか。眠っている間に大きな地震が起きて、明日の朝には死んでいるのではないか。いつもそんなことを想像していた。しかし「その時」は今日まで来なか…

ある日のさよなら

10年ほど前に嫌な別れ方をした人からもらったものを捨てた。 正確に言えば貸してもらったのだが、返す前に相手から連絡手段を完全に断たれたので手元に残ってしまったものだった。これも俗に言う「借りパク」にあたるのだろうか。 傷つけられた悲しみと、…

泡だらけの日々

私はムダが嫌いだ。時間をムダにすることも、お金をムダにすることも不愉快だ。そしてそんな自分の性格を情けなく思っている。 サンクコスト、という言葉がある。すでに費やしてしまったお金や時間、労力などを惜しんで、やめるにやめられなくなる現象のこと…

教え育むことについて

保活、という言葉を知っているだろうか。 子どもを保育園に入れるための活動、略して「保活」である。私は自分が子を持つまで知らなかった。 人口の多い都会に暮らす親たちは、保育園の「椅子取りゲーム」に勝利すべく必死に情報戦を繰り広げている。近年は…

何にもできない君が好き

2015年6月1日 「私を認めてほしい」という気持ちと、「私を愛してほしい」という気持ちとの違いについてよく考える。 前者は他人より優れていること――美しいこと、能力の高いこと、善い人間であること――の証明を欲する感情で、彼らの頭の中には1本の直線…

腐った日記帳

2015年5月15日 「考え事を言葉にしていると、ときどき自分が酷く冷たく歪んだ人間に思えてくる。 愛し愛される恋人同士の閉じた世界や、賑やかで満ち足りた大家族の食卓、やさしさと助け合いにあふれた小さな集団。 それらが遠い遠いところにあるよう…

自死と自傷は罪ですか

2015年12月19日 「リストカットしちゃった」と親友に告白された14歳の私は何と答えるのが正解だったのか、今でも時々考え込む。 22年生きてきて、今まで出会った人の中で、自殺したい、と話してくれた友人がふたり、自傷癖のあった友人が3人ほど。そ…

書かなければならないから書きたいへ

随分前に作ったまま放置していたはてなブログに文章を載せていこうと思った。これまで長い間noteに投稿していたが、それをやめるつもりはない。ただ、はてなブログユーザーの方とも交流したくなったのだ。要は自分の書くものをもっと沢山の人に読んでもらい…